奇妙な集団死亡事件が同日に2件も発生したことで、6日のヨーロッパの報道は、この事件に関するニュースで一色に染められることになった。
さらに、世界各地でも事件の一報は報じられることになったのだが、そのことで驚くべき事実が明らかになった。同じ日に、カナダでも同様の事件が起きていたのだ。
その事件の状況はスイスで起きた事件よりもさらにむごたらしいものであった。
3件目の事件はカナダのケベック州にあるモリン・ハイツというリゾート地で起きていた。この地にある別荘住宅がやはり爆破されたのである。
家の中からは双頭の鷲がデザインされたメダルを身につけた、二人の性別不明の焼死体が発見された。
爆発が起きた住宅は隣の家とつながっている構造になっていたが、その家は爆発による被害はたいしたものでなかった。
だが、この家からも3つの死体が見つかった。その犯行の様子は非常に凄惨なものであった。
死体はスイス人のデュトワ一家のものであることがすぐに判明したのだが、夫のアントニオは下半身を金属バットで幾度も殴られ、身動きが出来なくなった状態で、胴体の50箇所以上を刺されており、妻のニッキーも胴体と首を10箇所以上刺されていた。
ふたりにはまだ生後3ヶ月の生まれたばかりの子供がいたが、心臓に木の杭を打たれて死亡していた。
この事件の捜査が行われる中で、スイスで起きた2件の事件のニュースが飛び込んできたことで、共通点が指摘されたわけだが、ある事実が判明し、3件の事件に関連している可能性がさらに強まることになった。
3つの事件で犯行現場となった建物の所有者を調べたところ、宗教団体「太陽寺院」の指導者リュック・ジュレとジョセフ・ディ・マンブロ、そして教団の出資者カミーユ・ピレの3人の男達が共同で所有している建物であることが明らかになったのだ。