地元の新聞もこの意見に同調した。いくつかの怪しい状況はあるものの、犯行を決定づける証拠が何もないのに、なぜ、彼女が逮捕されたのかと警察を非難した。新聞は彼女の事を無実なのに罪を着せられた哀れな被害者として扱った。
実際に警察は確たる物的証拠をつかんでいる訳では無かった。特にあれほど凄惨な事件であれば、犯人は必ず返り血を浴びているはずである。しかし、返り血を浴びた服などは発見されていなかった。
また、犯行の凶器とされた斧も同様だった。確かに家の地下室から、灰にまみれた柄のない斧が発見されていたが、あれほどの事件であれば必ず付着しているはずの血痕は発見されなかった。