地下にあった灰の付いた斧については、検察の主張に対して、事件のあとにそんな時間のかかる作業をしている余裕はなかったはずだとした。
最後にロビンソン弁護士はリジーを指さしながら、陪審員達にこう訴えかけた。
「みなさんには、あの女性がこのような恐ろしい犯行を行う悪魔に見えますか?」
6月20日、ついにリジーに対する判決が出た。陪審員がリジーに下した評決は無罪だった。
検察が展開した主張はそれを裏付ける物証に乏しく、どれも状況証拠に過ぎなかった。それに、リジーが拘留中に同じ地域で斧による殺人事件が発生していた事も考慮された。
そして、ロビンソン弁護士の反証も効果的だった。陪審員のだれもがリジーを裁く気になどなれなかったのだ。
リジーに無罪の評決が下った確瞬、傍聴席からは歓声と拍手が沸き起こった。すぐにリジーは釈放された。