ルチアーノはそうした優秀な仲間達を抱えつつも、さらに人材を求め、様々なマフィア達を配下に加えていった。
衣料品業者に対する恐喝を得意とし、腕っ節の強さで知られたルイス・“レプケ”・バカルター、ニューヨークの波止場を取り仕切り、幾多の人間を殺害した経歴をもつアルバート・“マッドハッター”・アナスタシア、ニューヨークのビールの供給を一手に引き受けていたダッチ・シュルツなど、頭角を現しつつあるマフィア達を次々と仲間に加えていった。
こうして、ルチアーノは大きな収益源と優秀な人材を持つようになり、ニューヨークのマフィアの中でも、一目置かれるほどの存在になった。
ルチアーノは、当時のニューヨークマフィアのボスにして、アメリカ全土のマフィアのトップ、「カポー・ディ・トゥッティ・カピー(ボスの中のボスの意)」の座にいたサルヴァトーレ・マランツァーノを追い落とすことを画策するようになる。
マランツァーノは当初、ルチアーノを自分の組織の幹部に取りたてようと考えていた。そのことをルチアーノに持ちかけ、もし、仲間に加わりたければ、マランツァーノが敵対していたマフィア、ジュゼッペ・マッセーリアを殺せと命じた。
しかし、ルチアーノはこれを拒否した。激昂したマランツァーノはルチアーノの顔にいくつもの深い傷をつけた上で、凄まじい拷問をおこなった。
道で倒れているところを発見されたルチアーノは、病院に搬送されなんとか一命をとりとめることが出来た。
マランツァーノの拷問を生き延びたことで、以降はラッキー・ルチアーノと呼ばれるようになる。