ジョージはそのような国民の感情を意に介さず、シャーロットに縁談を持ちかけた。相手はオランダの公使ウィリアムであった。
当時のオランダはベルギーとの連合国ネーデルランドの創設間近で、イギリスが強国フランスに対抗するためには有力な同盟国となりえる相手であった。そのため、ジョージは政略結婚させることを望んでいたのだ。
しかし、シャーロットはこの縁談に反対した。自分がオランダに嫁いでしまえば、母が危険な目に遭うのは明らかであった。
ウィリアムに対して、母も一緒にオランダに移り住むか、もしくはイギリスで生活出来なければ婚約を破棄すると申し伝えた。さすがにこの要望にはウィリアムも答えられなかったため、縁談は破棄されることになった。
この母想いの行動を多くの国民が称賛し、シャーロットはより深く国民から慕われるようになった。
キャロラインも自分を気遣う娘の行動に深く感動していた。しかしそれと同時に自分がシャーロットの未来にとって負担になっていることも痛感していた。
キャロラインはイギリスを出て、旅に出ることを決断する。