ドレフュスがそうした困難にあえぐ中、裁判を不服としてドレフュスの親族が動き出していた。ドレフュスと生活を共にしていた人間からすれば、愛国心に溢れ真面目一筋な彼がこのような事件を起こすことなど到底考えられないことであった。
特にドレフュスの兄、マテューは事件にのめり込んでいった。仕事を辞め、弟の冤罪を晴らすため、もてる時間の全てをその活動に注ぎ込んだ。
冤罪を晴らすにも、秘密裁判であったため、まずは裁判の内容を知るところからはじめなければならなかった。裁判に参加した人物を全て調べあげ、ひとりひとりに裁判の様子を教えてもらえないかあたってみることにした。
すると判事の1人が、機密漏洩文書に「D」の文字があったことからドレフュスに容疑がかかったことなど、裁判の様子を明かしてくれた。その話を聞き、マテューは冤罪の可能性が高いことを確信し始めていた。