また、阿片中毒者としても扱われたテイラーだが、むしろテイラーは麻薬類の一切を激しく嫌悪していたくらいであった。
仲を噂されたもう1人の女優、メイベル・ノーマンドとは良き友人関係を築いていた。彼女は当時の喜劇界で名を馳せていた映画監督でプロデューサーでもあるマック・セネットと付き合っていたが、セネットの浮気によってその関係は終わってしまう。このことに激しく落ち込んだノーマンドは麻薬に手を出すようになり、中毒状態から抜け出せなくなっていた。
テイラーはそんなノーマンドに幾度も麻薬を辞めるよう説得し、麻薬を断つため、病院に入院することを盛んに勧め、ある時にはノーマンドに近づく麻薬の売人に殴りかかったこともあった。
テイラーは、当時、ハリウッドに蔓延していた麻薬とは無縁の男で、むしろ、麻薬撲滅を訴えるハリウッド関係者の急先鋒でもあった。そのため、麻薬を扱うギャング達の反感を買ったために殺されたのではないかとして、警察はこの線でも調査を行うことになった。
このようにテイラーはあのようなゴシップにまみれる人間ではなかったのだ。完全に当時のハリウッドを取り巻く状況が生み出したゴシップ合戦に飲み込まれ、死後の反論も出来ない状況の中でその名声をひどく傷つけられていくのであった。