今回は、それぞれ個室に入れられた人間たちが討論を行っているさいに、そのうちの1人に発作が起きるという実験であった。
それぞれの個室にはマイクがあり、お互いの喋る声はヘッドフォンによって、聞くことができる。ただし、喋ることが出来るのは自分の番が回ってきた時だけで、それ以外の時は喋っても他の部屋に声は伝わらないようになっている。
討論中に参加メンバーの1人が突如てんかんのような発作を起こし、苦しみ出す。
誰かが喋っているときは他の人間は話をすることはできないため、だれかが発作に気づいて助けを呼んでも、それを他のメンバーが知ることはできず、また被験者間で相談などもできないようにした。
これでジェノヴィーズの事件でそれぞれの目撃者が置かれたのと近い状態が作られた形になった。
実験では、最初に発作を起こす病人役の人間から話を始めるよう設定された。彼は自分の身の上を話し、それとなくてんかんの発作があることを知らせる。
そして、次の参加者が自分の話を始め、被験者が話す順番は最後とした。
再び最初に戻り、病人役が話す番になったときに、てんかんの発作が起き、病人役はマイクを通して危険な状況に置かれているので、助けて欲しい旨を告げる。
部屋を出た廊下の突き当たりに助手がいるので、助けを呼びに部屋を出れば、報告はすぐに行える状況になっていた。