真相を秘密にしているだけでは安全ではなかった。ドレフュス事件の真実を知っているだけで、ピカールは危険な状態に置かれていたのである。
ピカールはすぐに対策をとりはじめた。休暇でフランスに帰国した際に、知り合いのルブロア弁護士にドレフュス事件の全てを話した。そして自分の名前は伏せた上でドレフュス事件を追求できる人間に託してもえるよう頼んだ。
正義感に厚いルブロア弁護士は、この話を引き受け、政治家のケストネーのもとを訪問した。ケストネーは政治家の中でも数少ないドレフュスは冤罪だと考える、ドレフュス派の人間であった。ケストネーはすぐに事件を究明するため動き出した。
しかし、情報の出所もわからない状態では、なかなか動きようもなかった。それでも、知人でもある陸軍のビヨオ将軍にこの話を持ち込み、真相を究明するようたきつけた。
しかし、ビヨオ将軍は調べてみたがそんな証拠はなかったとして受け付けなかった。ただし、エストラジーは休職させられることになった。
エストラジーは事件の真相究明が行われ始めていることにあせりを覚えた。不安な時を過ごしていると、ある場所に来いと書かれた手紙を受け取った。
エストラジーがその場所に赴いてみると、人相を隠した男が現れ、これからどのような行動を取れば良いかあれこれ指示を出し去っていった。エストラジーは自分が何か大きな力に守られていることを確信し、不安な気持ちから解放されていった。