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太陽寺院事件ー自然主義を取り込んだ教義

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太陽寺院事件ー自然主義を取り込んだ教義

こうした教義や規則などはディ・マンブロが生み出したものであると目されているが、ここにジュレが時代性のある要素を加えていった。

「自然の逆襲によって終わりの日がもたらされる」。犯行声明にも含まれていたこの“自然破壊による人類の終焉”という考えはジュレが生み出したものだと言われているが、この思想は教団にとって有効に機能した。

これまでの終末論を唱えたカルトは、核戦争による人類の破滅を語る例が多かったが、冷戦構造が終わりを向かえていた当時において、核による人類の破局という話は説得力を失いつつあった。

当時は自然指向ブームが起きており、核などを持ち出すよりもこちらの方が格段に説得力があったのである。

そしてその自然主義的な思想は教団の看板にもなっていった。ジュレは教団の表向きの見え方を「自然農法で野菜を栽培する団体」として仕立てたのである。

自然指向ブームは、いわゆる「スローライフ」や「スローフード」といった言葉に代表されるブームであったが、これも物質主義や効率主義に対する穏やかなアンチテーゼだと言えるだろう。

そんな自然指向ブームに最も敏感に反応したのが富裕層である。それはまさに教団がターゲットにした人々であった。こうした、一見無害な看板に惹かれて教団に近づいた裕福な人々が信者として取り込まれていったのである。

自然主義は事件においても象徴的に使われていた。死亡者の中にビニールのゴミ袋を被せられていた者がいたが、ビニールという反自然的なものを被せることによって、その人物が反教団的な人間であることを示しているのだという。

ジュレは教祖となってからも盛んに講演を行っていたが、その内容は自然志向的なものだけでなく、自己啓発の分野にまで及び、この分野でもかなりの人気を獲得していた。

「能力開発と経営」などをテーマにした講演を度々行っており、大企業からも声がかかるほどの評判を集めていた。

これが、前述したカナダの電力会社ハイドロ・ケペックでの信者獲得につながったのである。

こうして富裕層を取り込んだことで、教団は莫大な資金を手にするようになる。さらに、ディ・マンブロはこの資金を不動産の投資などに回し、その運用に成功する。

教団の本部はスイスに置かれていたが、これは様々な点から見て都合が良かった。

スイスには「スイス銀行」として知られる厳密な守秘体制を持つ銀行の伝統があり、その秘匿性の高さから、世界的なVIPたちに重用されてきた。

その一方で犯罪組織などにも利用されることもあり、大規模な資本を持つ世界中のカルト教団なども多くの口座をもっていると言われている。

また、スイスは富裕層が多く暮らす国であり、歴史的に宗教団体にも非常に寛容な国であった。教団が本部を置くにはうってつけの場所だったのである。

スイスを起点に、カナダやフランス、オーストリアなど欧米諸国に広がっていく。

こうして教団の信者数は500人程度と決して多くは無いが、裕福で秘密を守る教団にとって良質な信者を着実に獲得していったのである。

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