1920年代はアメリカにとって「黄金の時代」であった。自動車やラジオ、冷蔵庫などの家電が普及し、大量生産・大量消費の世の中が到来したことで、アメリカは産業革命以来、経済の中心国であったイギリスを追い抜き世界トップの経済力をもつ国になった。
経済力の向上は様々な文化をも発展させ、農村に過ぎなかったハリウッドを世界の映画工場として生まれ変わらせた。
ハリウッドで作られる映画は世界各国で上映され、エンターテイメントの分野でもアメリカが世界の覇権を握るようになっていく。
しかし、1920年代は映画界のそうした隆盛の裏で様々な事件とそれに関連するスキャンダルが噴出し、ハリウッドに激震が走った時代でもあった。
その中心的な事件の一つが、以前紹介した「ロスコー・アーバックル事件」であった(以後のこの事件に触れる箇所があるため、まだ未読の方は先に読まれることをお勧めする)。
そして、ハリウッドに最大級の危機を呼び込んだと言える、もう一つの事件が今回紹介する「テイラー事件」である。