エヴァンジェリスタの家には地下室があったのだが、ここにはさらに驚くべきものがあった。
地下室の奥には不気味な祭壇が置かれ、蝋で出来た10体程の悪魔の姿をした人形がつり下げられていた。
悪魔の人形には動物の毛のようなものまで埋め込まれていて、非常にグロテスクなものだった。
他にも気味の悪い巨大な目の形をしたオブジェもあり、それは中に入れられたライトによって光る仕掛けになっていた。
壁には「偉大な惑星展示室」と貼られた紙があったことから、悪魔の人形は、惑星の配列を現したものであることがわかった。
不気味な聖書と悪魔が祀られた祭壇、エヴァンジェリスタが悪魔崇拝を行っていたことは明らかであった。
警察が現場検証を行っている最中、この事件を嗅ぎつけた新聞記者が大挙して家の中に入り込んできていた。
悪魔崇拝を行う一家で起きた陰惨な殺人事件という状況が、多くの記者達の興味をそそったのだ。そして、それらは大衆の興味と恐怖を煽るには格好のネタだった。彼等はいたるところで写真を撮り、現場を歩き回った。
まだ現場検証が終わってない最中に新聞記者たちが大挙して押し寄せたことで、証拠の多くが失われてしまった。これは現場の保存を怠ったデトロイト警察の失態であった。
結局、その後警察が発見できたのは、ドアノブに残されていた血の付いた指紋と盗まれたものが無かったことから、物盗り目当ての犯行でなかったことぐらいであった。
独立記念日に発覚した事件は、デトロイトの街を恐怖のドン底に突き落とした。斧を持った悪魔がデトロイトで徘徊しているという噂が飛び交ったのだ。