イギリス国内は、本当に仲間を食べたとする意見とそれに反証しようとする意見で、大論争になった。
この大騒動にフランクリンの妻ジェインは心を痛めた。彼女はなんとしても夫が辿った道程を明らかにし、夫がそんな非道に手を染めていないことを明らかにしようと、今まで以上にやっきになった。
ジェインは自らの資産のほとんどをなげうち、フォックス号という名の蒸気船を購入する。さらに、過去三度のフランクリン隊の捜索隊に参加した経歴を持つ、マクントリック大佐を指揮官とする捜索隊を組織した。
1857年7月、マクントリック大佐率いる総勢25名の捜索隊が出港した。2年後に本国へ帰還した彼等の手によって、ついにフランクリン隊が辿った末路が明らかになった。
彼等はフランクリン隊が残した遺品や文章を発見したことで、その消息を明らかなものにしたのだ。