この秘密結社的な組織との関わりから、一連の事件を解説できるとする説も存在する。
それは、本事件が全て、こうした組織の連合体の意思によって行われたのだとするものである。
秘密結社の連合体、まるで都市伝説のような話だが、実はこうした秘密結社などの地下組織がネットワークを構築しており、それが政治やイデオロギーの維持にも利用されていたという話は欧米ではよく知られている事実である。
その存在が知られるようになったのは、80年代の終わりまで続いた冷戦構造のなかでのことであった。
当時のNATO(北大西洋条約機構)にとって、ヨーロッパ諸国に共産主義が台頭することが最大の脅威となっていた。
そこで強固な反共産主義の世論を形成するために、CIAが実務を主導する形で「グラディオ作戦」という軍事オペレーションを実行しているのだが、この作戦では長年地下活動を続けていたネオ・テンプル騎士団や薔薇十字団、フリーメイソンなどをも取り込んで活動を行っていたと言われている。
それは目的のためなら、どんな過激な行動をもいとわない「グラディオ」の性格を現すものであった。
「グラディオ」はこうした組織を使い、極左組織の犯行に見せかけたテロ活動を行っており、1980年にイタリアで起きた85人の死者を出す惨事となった「ボローニャ駅爆破テロ事件」はその活動の一つだと考えられている。実際にこの事件の実行犯は秘密結社のメンバーであった。
つまり、「グラディオ」は秘密結社に所属する人間を使い、テロ事件を極左組織の犯行に見せかけることで、反共産主義的なプロパガンダを行っていたというのだ。
80年代の終わりに冷戦が終結したことで、「グラディオ」もその存在価値を失ったのだが、「グラディオ」はその後も存在し続け、フランスやイタリアなどの大臣クラスの人物もその存在を認める発言をしている。