「殺し屋」という言葉は、現在ではどこか現実感の乏しい言葉のように思える。
殺人を生業とする人間の話などを主に見聞きできるのは、今や物語の中ぐらいであろう。
しかし、1930年代のアメリカには殺人で生計を立てていた多くの人間が確かに存在し、さらには彼等を社員として雇う、「殺人請負企業」が存在していた。
今回紹介するのは、「マーダーインク(殺人会社)」と呼ばれ、アメリカの裏社会で暗躍した組織の話である。
現在では殺人で商売を行う企業があったことなど、信じにくい話であるが、当時のアメリカには、こうした殺人で利益を上げる組織が存在出来る背景があった。
そこには、マフィアが社会に対して、強い影響力をもつことが出来た時代であった事とそうした時代背景の中で、ある1人のマフィアが登場したことが関係していた。