実験は3つのケースに分けて行われることになった。
一つ目は病人役と被験者1人、二つ目は病人役と被験者1人とその他に1人、3つめは病人役と被験者1人と4人のその他の人間というケースが用意された。
被験者は常に1人とされ、それ以外の人間はいるように思わされるが、実は全て録音した声という設定である。
実験の結果、病人役と被験者だけの場合、85%が発作中に報告し、発作が起きてから6分以内に全ての人間が報告を行った。
病人と被験者、それにもう1人いると思わされたケースでは62%が発作中に報告し、6分以内では85%が報告した。
病人役と被験者1人、他に4人の人間がいると思わされたケースでは発作中で31%、6分以内では63%という結果になった。
この実験でも助けを必要とする人間と被験者という場合が最も事態を報告する確率が高く、他の人間の数が多ければ多いほど、報告を行う確率が下がることになった。
実験の結果は、ジェノヴィーズ事件でだれも通報しなかったのと比較すると、数値的に高いように思われる。
これは、被験者が討論の参加者という特定されやすい状況にあったためで、ジェノヴィーズ事件やニューヨークで起きた類似する事件のように、特定されにくい状況であれば、その数値はもっと低下するものと考えられている。