検事のキースがこの事件とは無関係の収賄容疑で逮捕され、再び検事が代わったころ、ある裁判で、シェルビーの賄賂工作が明るみに出る。
それはシェルビー自らが起こした訴訟で、彼女が持つ株式の売買を担当していたレスリー・ヘンリーという男が横領を行っていたとして告発したものだった。
この裁判で、ヘンリーは、横領したとされる金はある人間達に渡った賄賂で、その人物とはウールワインとキースの両地方検事、それにシェルビーが事件当夜に一緒にいたと証言した俳優、ストックデイルなどであったとぶちまけたのだ。
つまり、キースが行ったシェルビーに対する尋問も、事件の追及ではなく、むしろシェルビーの疑惑を晴らすための仕掛けだった可能性すら浮上したのだ。さらにはアリバイの根拠さえ怪しくなった。
また、この頃、シェルビーは実の娘でミンターの姉マーガレット・シェルビー・フィルモアから金の返済を求めて裁判を起こされているが、この公判の中で、シェルビーがストックデイルに小切手で金を支払っていた事実が明るみにでる。
このストックデイルという男はマクリーン夫人が見たとする人物像と一致する人間であった。
さらに、この公判中にマーガレットは「この女は金のためなら人の心臓をえぐり出すぐらいのことは平然とやってのける」と言い放ち、シェルビーをテイラーの殺害犯だとして罵った。