しばらくしたころ、弁護士によって調査の結果が発表されるのだが、その内容は驚くべきものであった。
キャロライン自身もシドニーと不適切な関係にあり、二人が交わっている現場を見たとする証言や他の軍人とも不義を働いていたとする証言が得られたと発表したのだ。
さらに、キャロラインは誰の子かわからない男児を密かに出産しているとまで付け加えた。
これで、事態は大スキャンダルへと発展した。国王の命により調査委員会が組織され、調べられることになった。
すると、確かに生後5ヶ月ぐらいの男児をキャロラインがモンターギュ・ハウスで育てている事実が発覚した。
しかし、この男児は、館をよく訪れていたある貧しい男が連れていた子供で、父親が無職で子育てもままならないような状況にあったため、キャロラインが引き取って面倒を見ている子供であることがわかった。
また、モンターギュ・ハウスに従事している人間達の誰もが、キャロラインが不義を行ったことなどはないと証言した。
これでキャロラインに対する疑惑は払拭されることになった。しかし、キャロラインにも否が無いわけではなかった。自室で男性貴族などと二人きりで話をすることなどがあったのだ。
天真爛漫なキャロラインは王族としてのふるまいにどこか欠けるところがあり、そこから生まれた疑惑であった。
だが、そもそも騒動の発端である、ダグラス夫人は以前にキャロラインと友人関係を持っていた人物であるが、単にキャロラインの威光に預かろうとしていたふしがあり、キャロラインが関係を絶とうとしていた人物であった。
つまり、腹いせでこのような騒動を巻き起こした可能性があった。
さらに、ダグラス夫人は離婚のきっかけを見つけるためジョージがモンターギュ・ハウスに送り込んでいた密偵とも親しくしており、この騒動はジョージの意図が強く反映されたものであった可能性も高かった。
こうしてキャロラインの容疑は晴れたわけだが、本当はキャロラインにはふしだらな関係があったのではないかとする疑惑は根強く残る事となり、現在でもキャロラインが不義をはたらいた人物だったと言われる要因となっている。